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「何の話?」 「ヒバリだよ。あいつまだ一線引いてる感じじゃん」 あの雲雀さんがみんなと仲良く!沢田綱吉は笑いを堪えるのに必死だった。山本武はいつもこうだ。突拍子もなくとんでもないことをのたまっては綱吉を楽しませてくれる。武がこんな風に唐突に会話を始める時は大抵、あの酒は強いくせにまずくて割に合わないだの、どこそこの店主が偏屈親爺ですげぇ笑っちゃうんだよだの、山本視点で語られるごく普通のありふれた雑談である。しかし彼の着目点は綱吉と随分と違うのか、どこかで必ずズレた意見が入ってくるのが綱吉にとっては面白くて仕方がない。それが、今回は冒頭からこれである。雲雀恭弥とはかれこれ長い付き合いになるが、おともだちと仲良くする恭弥など一度たりとも見たことがない。見たとしても記憶からすぐに抹消してしまいたいと思うに違いない。それほどまでにあの男が他人と「群れる」様は想像しがたいからである。 「それで、なんでまた急にそんなこと考えたの?」 武とて、中学生の頃から恭弥の性質も性格もよく知っている筈だ。彼が群れている人間をどの程度嫌っているかは実際に武自身の目で見てきたし、現在も恭弥の性質にはさして変化がない(まあ、さすがに中学生の時よりも成長した分、多少はオトナになっている)のだから、先の武の発言は今更といってもいい。 「急にじゃないって。結構考えてたんだぜ、俺。そりゃ、それがあいつらしいといえばあいつらしいけど。でも、ハルの様子見てるとな。歩み寄ることくらいできるんじゃないかって」 「ああ、成程…」 綱吉も今度は得心がいった。三浦ハルは何故か恭弥と仲がいい。一方的に友好的であると言ってしまえばそれまでだが、聞くところによると意外なところで趣味が合うんだそうだ。何に関しての趣味が合ったのかはこの際知りたくもないが、恭弥とハルが会話しているところをよく見かけるのは事実だ。武はそこに着目したらしい。確かに綱吉も当初は珍しい組み合わせもあるものだと驚きを通り越して感動すらしたのだが、今では日常の一コマとして認識する程度。もとより恭弥と「仲良くする」ことなど一度も考えたことがない。武はさも面白そうに恭弥との距離を縮めるための案を口に出しているが、綱吉はそれどころではなかった。まさか武は本当に恭弥と仲良くするつもりなのか。なんてことだ。彼はとんでもないことを思いつくだけでなく、実行する勇気も持ち合わせているらしい。勇者だ。 「それでさ、考えてみたんだけど。ツナ、お前も協力してくれないか」 「え、なんで俺が」 その計画にまさか自分も組み込まれているとは思いもしなかった。冗談じゃない。ボンゴレ10代目と言われる男もただの人間であるということを武は知っているのだろうか。恭弥が幹部たちと手を取り合って笑顔をつくっている様を想像してみろ。笑いもこみ上げるが同時に恐怖も覚える。そんな雲雀さんが降臨したら…!冗談じゃない!恭弥に殺されるのは目に見えている。笑いすぎて呼吸困難に陥って、そのままポックリ逝きそうだ。綱吉の意図を汲み取ったのか、武はニッと笑ってみせる。 「ハルに教えてもらったからさ、一緒に買いに行こうぜ。ヒバリが一番好きなケーキ」 これは堪らない。ボンゴレ10代目の訃報は近日中に街を駆け巡るに違いない。 REBORN! || 山本と綱吉 捏造もいいところですみません…! |