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視界が妙に冴えるんだよなあ、と山本武は言っていた。確かにそういう時は身体の奥底から湧き上がる熱に反して、表面だけは妙に冷め切って冴え冴えとするものだ。三日月みたいなものですか、と三浦ハルに問われたことがあるが、そんなに美しいものではないということは言われるまでもなく理解していた。 一度だけ、鼓動が大きく跳ねる。そら来た。奴らの足音だ。これは相当高価な革靴に違いない。心地良い心臓のリズムに身を任せて軽く呼吸をしてみせると、今度は体中の体毛が逆立つ感覚に襲われて気持ちが悪い。この感覚にだけはいつまで経っても慣れそうもなかったが、それはそれでいいと最近では思うようになっていた。何しろ、舞台に立つ際には多少の緊張は必要なもので。 シミュレートの必要はなかった。いつだって身体は従順に動いてくれる。動き方は嫌と言うほど叩き込まれたし、思い描く通りに事が運ぶのは目に見えている。 ――さあ、行こうか。 無線機に向かって呟く自分の声が、どこか遠くから聞こえる気がして不快だ。懐に押し込んだ愛銃とグローブの存在をゆっくりと撫でて確認する。いつのまにか唇は乾いていた。じわりじわり、脳も身体も侵食される感覚。闇の中から確実にこちらに向かっている足音が近づく。唇を舐めて、細く息を吐く。 REBORN! || 綱吉 |