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「リーダーも飲みます?ココア」 ラウンジのソファでコンビニ弁当を食べている彼に声をかける。風花は今とても幸せで、その幸せを他の誰かにおすそ分けしてあげたかった。しかし彼はそんなことなどお構いなしに、少しだけ眉をひそめて机に置かれた缶コーヒーを指差す。「飲み物はあるからいい」の意なのか、それとも「甘い物は苦手だから」ということなのか判断はつかないが、もしかしたらそのどちらも含まれているのかもしれない。ああ、折角こんなに幸せになれるのに。風花は残念で仕方がなかったが、強要するのも何だか悪いので(というか、それはおすそ分けとは言えないので)肩を竦めて幸福の続きを堪能することにした。 普段シャドウだのタルタロスだので疲れているみんなにも、できればこんなふうに安心できる時間があったらいいと思う。ココアのあたたかさのような安息は、今の特別課外活動部には無いに等しい。癒しといえばコロマルがそうかもしれないが、それとはまた別の次元の話だ。そう、例えば、幸福を凝縮したような甘いお菓子を、みんなで囲んで食べるとか。それだったら、人も動物も(多分機械も)分け隔てなく素敵であまい時間を過ごせると思う。 「そうだ、決めました。私、みなさんにマドレーヌを作ります!」 たった少しの間だけかもしれない。それでも、甘いものをみんなに振舞ってみんなで同じ幸せを共有したら、きっととても素敵だと思う。風花は自分の名案にとても満足して、「あ、甘さ控えめにしますから、リーダーも大丈夫ですよ!」と付け加えた。しかし当のリーダーは箸でつまんでいたから揚げをぽろりと落として、至極真面目な様子でのたまった。 「ごめん、いろいろと無理」 「え?…リーダー、顔、真っ青ですよ?」 大丈夫ですか?と問いかけると、なんでもないよでも岳羽あたりが手伝えばまあなんとかなるんじゃないかな、などと早口で妙な言葉が返ってきた。風花は不思議に思いながら、あたたかくてあまいココアを求めてマグカップに口をつけた。 ファンタスティック・スイート (070322) |